言い訳!?

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言い訳!?

 京都の夏は暑い、これは有名な話である。  さて、立花ヒイコ、京都で迎える初めての夏が来た。  京都の夏は本当に暑いのか?  結論は暑い。  しかし、今年は全国的に猛暑である。  はたして京都だからこんなに暑いのか、それとも京都だけ特別に暑いのか。  今朝のヒイコは食欲がなかった。身体もやたら重い。  昨晩、調子に乗って食べ過ぎてしまったからだろうか。  朝なのに、アイスしか食べたくなかった。 「夏バテかな……何も食べないよりいっか」  そんな言い訳をして、朝からアイスを食すヒイコであった。  さて、ヒイコは仕事で事務所近くの郵便局を訪れていた。外の熱がうそのように、郵便局は涼しかった。  用事を済ませたヒイコだが、ガラス窓から見える屋外はあまりにもまぶしい。もう見るからに熱帯だ。  ――まあ、今日の仕事は余裕あるし。うん、ちょっと夏バテ気味だし、涼んでからゆっくり戻ろ。  最近のヒイコはいつでもこんな感じである。何時かまわず食べたいものを食し、だるいからと言ってのっそりしか動かない。動作がすべてスローペース、家事にいたっては手抜きに手抜きを重ね、もはや何もしていない。 「京都の夏は暑いでしょう?」  ようやく事務室に戻ったヒイコに、草刈先輩が涼やかな顔をして聞いてくる。この人は汗というものが出ないのではと思うほど、いつでもスンとしているのだ。 「はい~。暑いですね、ほんとう」  京都だから暑いのかヒイコには判断が付かなかったが、じとっとした熱い空気がまとわりついて、不快な夏であることに間違いなかった。化粧を施す意味がないのではと思う。まあ、控えめに言って汗まみれである。 「最近元気なさそうやけど、大丈夫ですか?」  草刈先輩は心配そうにヒイコの顔をのぞき込んだ。  今日もとっても良い香りをふんわりまとっている先輩を前に、ヒイコは自分の身体が汗臭くないかドギマギする。 「だ、大丈夫です。ちょっと夏バテ気味っぽいだけで」 「あら、気いつけてくださいね」 「あ、ありがとうございます」  ***  翌日、草刈先輩が会社を休んだ。山本ちゃんがこそっと教えてくれる。 「草刈先輩、夏バテらしいですよ。最近、全然お昼ご飯食べてなかったから心配してたんですよね……」    ――そうだったのか……。  最近のヒイコのぐうたらは、夏バテが原因か非常にあやしいものである。  そんなヒイコの心配をしてくれた草刈先輩……  なんでも夏バテのせいにした自分を少し反省するヒイコなのであった。
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