小さくない秋みつけた

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小さくない秋みつけた

 九月に入っても異常な暑さが続く中、立花ヒイコはコンビニで秋の訪れを教えてもらった。  ときたま買うコンビニスイーツは、パンプキンプリンだったり、サツマイモロールだったり……  芋栗かぼちゃは人間に秋を印象づける食材に間違いない。  いつものお菓子だって、芋バージョン、栗バージョンがこぞってラインナップしている。  もちろんヒイコは乗っかるタイプだ。   「わあ、モンブラン風、おいしそう!」  嬉々として期間限定品を手に取る。  けれど――やっぱりノーマルタイプが一番おいしいと毎年のように思うのであった。  さて、そんな名ばかりの九月の秋だったが、十月に入るとあの暑さがうそのように秋になった。  むしろ急に冬が来たかと思うほど、寒くなった。  秋の装いをしていたヒイコは、冷たい風にぶるると身をすくめる。  ――あ~、やば。風邪ひきそう。これは、の出番かもしれない……  ヒイコは家に帰ると、タンスの引き出しや、まだ収納しきれていない引越しのダンボールをあさった。  しかし、の姿が一向に見当たらない。  もしや……とヒイコは実家の母に電話した。 『はあ? ヒートテック?』 「うん。どうも持ってくるの忘れちゃったみたいで、わたしの部屋のクローゼットにないかな? もう寒くてさあ……すぐにでも着たいから送ってほしいんだけど」  ヒイコの要求に母はごにゃごにゃ小言を言いながらも探してくれる。 『あったけど……』 「ありがと!」 『でも、これビヨンビヨンに伸びきってるよ。これじゃなんの効果もないでしょ。新しく買いなさい』  母にぴしゃりと言われて、ヒイコはがっくりと肩を落とした。  季節の変わり目は、出費を伴うものである。  それでも、新しい季節の訪れに心が浮き立つヒイコなのであった。
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