立花ヒイコ、京都に転勤する

マイブーム

　ダイエットしているとき、食べ物の成分表を見るとする。
　さて、目が行くのはどの項目だろう？

　エネルギー？　脂質？　炭水化物・糖質？

　立花ヒイコ、お肉が落ちにくい年齢に突入している。
　昔なら、いつの間に引っ込んでいたお腹が、へこむことを忘れて早数年。

　常日頃、意識はダイエット中である。

　そんなヒイコは、京都に来てからはまっている食べ物がある。
　それは、まさにダイエットの敵、パンである。

　京都とは、パン屋で溢れた街である。
　どうやら、京都人はパンが好きらしい。都道府県別パンの消費量で、栄えある一位に輝くほどだ。

　引っ越してきてすぐの頃、ヒイコは近所の小さなパン屋にぶらりと立ち寄った。
　ご夫婦でやっているような個人経営の店だ。
　そこのパンが美味しかったこと！
　このパン屋、すごい……と感動していたが、すぐに知ることになる。
　すごいのはこのパン屋だけじゃなかった。
　京都のパン屋は、なんてクオリティが高いのだろうと。

　本物のパンの旨さに気づいたヒイコは、パン屋を見つけては吸い寄せられるように入った。
　いや、わざわざパン目当てに遠征することもあるくらいだ。

　ところで、今、日本は深刻な物価高に悩まされている。
　パンも例外ではない。
　この数年で、パンの値は大幅に上がった。

　立花ヒイコ、腹はへこまないが、財布は薄くなる一方だ。

　しかし、心優しいそこのみなさん。
　心配ご無用である。

　なんせ、この女。なかなかの飽き性なのである。
　今はパンにときめきを感じているが、いったいいつまで続くことやら。