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隣の家は、僕の家よりずっと古くて、母子家庭。 小学一年生のニコちゃんは愛嬌があって、とっても可愛いのに、いつもママに叱られている。 ニコちゃんは、小さくて痩せっぽっちだから、一年生に見えない。 ニコちゃんのママは夜のお仕事で、ニコちゃんが小学校から帰ってきたら出かけていく。 ニコちゃんはいつも一人でお留守番。 電気も、テレビもつけちゃダメって言われているのか、夜はいつも懐中電灯の明かりだけがぼわっと浮いている。 カーテンがボロで、ちゃんと閉まんないから、家の中が見える。 と言っても、僕の部屋からしか見える角度がないので、完全に油断しているんだと思う。 だから僕は、ニコちゃんが叱られて殴られているところを何度も見たことがある。 パパっぽい男が来て、ニコちゃんの背中に煙草を押し付けているところも一度だけ見たことがある。 それを、母に伝えても、母はよその家のことに口出しできないと言って、取り合ってくれないし、僕はいつも具合が悪いので、父と二人きりで話ができるチャンスがなかった。(もしそんなことができたなら、僕のことも相談するんだけど…) ニコちゃんは登校するとき、いつも僕に手を振ってくれる。 だから、僕は時々ニコちゃんに飴玉をあげる。 へんなものが入っていない、ちゃんとしたヤツ。 ニコちゃんは笑顔で「ありがとう」を言ってくれる。 母は、朝食か、昼食に薬を盛る以外はだいたい優しくて、機嫌がいい時にだけ飴玉をくれる。 でも、基本的に僕の症状はお腹なので、から揚げとかトンカツとか、そういった美味しいものは食べさせてもらえないし、おやつも、飴玉と一口チョコをくれるくらいだ。 でも、叩いたり、蹴ったりされることはないので、それは良かったのかなぁ…と、ニコちゃんのママを見て思う。
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