6人が本棚に入れています
本棚に追加
4
ニコちゃんは小さいからすぐにわかる。
何人もの小学生が学校から出てきて、まだかな…出てこないな…と不安に思っていたところに、ニコちゃんがやっと出てきた。
「ニコちゃん!」と、僕は手を振った。
ニコちゃんはキョトンとした顔で手を振り返してくれた。
「ニコちゃん、遊ぼう」
「カケルくん…おうちでていいの?」
僕は体の調子がいいから、抜け出してきたんだと伝えた。「だから遊ぼう」と強く言った。帰らないで、と引き留めたくて。
するとニコちゃんは
「今日はね、お金もらっちゃったの。道草しておいでって。わたし道草のてんさいだから、カケルくんにいろいろおしえてあげる。」
と言って僕の手をとった。
僕はホッとした。
『今すぐ帰る』って言われなくてよかった…
でも、帰るって言ったらどうしよう…
ニコちゃんのママは、アレ…どうするんだろう…
そんな不安と恐怖を感じながらも、久々に外に出られたことの開放感と、ニコちゃんの道草の提案に、心躍らせている自分がいた。
僕はニコちゃんの小さい手をギュッと握って、ニコちゃんについて行った。
最初のコメントを投稿しよう!