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ニコちゃんは小さいからすぐにわかる。 何人もの小学生が学校から出てきて、まだかな…出てこないな…と不安に思っていたところに、ニコちゃんがやっと出てきた。 「ニコちゃん!」と、僕は手を振った。 ニコちゃんはキョトンとした顔で手を振り返してくれた。 「ニコちゃん、遊ぼう」 「カケルくん…おうちでていいの?」 僕は体の調子がいいから、抜け出してきたんだと伝えた。「だから遊ぼう」と強く言った。帰らないで、と引き留めたくて。 するとニコちゃんは 「今日はね、お金もらっちゃったの。道草しておいでって。わたし道草のてんさいだから、カケルくんにいろいろおしえてあげる。」 と言って僕の手をとった。 僕はホッとした。 『今すぐ帰る』って言われなくてよかった… でも、帰るって言ったらどうしよう… ニコちゃんのママは、アレ…どうするんだろう… そんな不安と恐怖を感じながらも、久々に外に出られたことの開放感と、ニコちゃんの道草の提案に、心躍らせている自分がいた。 僕はニコちゃんの小さい手をギュッと握って、ニコちゃんについて行った。
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