ヘンテコ・ハウス

4/23
前へ
/23ページ
次へ
 ロンがドアを開けると、そこには円柱形の白いホールがあった。 「もう、ここへ来て十日になるのに、まだ慣れない感じだな‥‥」  彼は、隣のドアに向かう。  その部屋にも、このヘンテコ・ハウスで住んでいる男がいるからだ。  ロンがノックしながら、 「おいトム、そろそろ朝のハズだけど、起きてるか?」  まもなくドアが開いて、男が笑顔を出した。  このトムは五十二歳。銀髪のセミロングで、中肉中背の感じだった。 「おはよう、ロン」  ロンも笑顔で、 「いつものパンとコーヒーってぇのは、どうだ?」 「もちろん賛成。ちなみに今日で何日目だ?」 「君なら多分、7日目だよ」 「もう1週間か……。ここのコーヒーやパンは美味いんだがな……」 「あれだけ絶品の料理が、即座に出せる――それだけは、この家の良いヘンテコだな‥‥」  トムは、ちょいとホールを見て、 「おっ、今日は普通のホワイトか‥‥。昨日は全面ブルーで、金魚バチに入った気分だったな‥‥」 「まぁ何でもイイけど、真っ赤だけは困るよ‥‥」  二人は苦笑しながら、中央の丸テーブルに向かった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加