15人が本棚に入れています
本棚に追加
それは実に変わった天井で、やたら階段が雑然と在るのだ。が、その全てが3メートル以上の頭上に在るため、誰も利用できないのだった。
「だから誰も、この家から出られないのさ」
ロンは苦笑した。
「そうですか……。あんなに階段が在るのに……。ボクもコーヒーとパンをもらえますか?」
「その前に、俺たちの名前を教えよう」
ロンたちが言い終えると、若い男が、
「ボクはナオです」
「じゃナオ、天井に向かって言ってみろ」
ナオは、怪訝な顔をしながら、奇妙な吹き抜けのような天井に向かって、
「パンとコーヒーがほしいです」
すると目の前の丸テーブルに、サッと1セット現れた。
そして、すぐ近くに椅子も現れた。
それはロンとトムに対して、真向かいの位置だった。
「えっ、なんですか? これ」
苦笑しながらロンが、
「まぁ座って、ゆっくり食べろ。大丈夫。味も保証するよ」
「はい‥‥」
ナオは不思議そうに座ると、パンとコーヒーを口にして、
「あっ、ホントに美味いですねー! ちょうど空腹だったんで‥‥」
最初のコメントを投稿しよう!