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孫次郎が、
(もう限界だ)
と思った時、
「そこまで」
と岡本の声が聞こえた。
「ありがとうございました」
と優之進が言って、深く頭を下げ、竹刀をおさめると孫次郎を圧倒していた力が消え去り、
「ありがとうございました」
とどうにか竹刀をおさめることができたが、まだ体が縛られているような感覚だった。
優之進は、何事もなかったかのように床の掃除を始めた。
「私もやります」
とようやく動けるようになった孫次郎が声をかけると、
「ありがとうございます」
と言う優之進からは、先程感じた感覚とは全く違う爽やかな風を感じた。
道場を後にし、優之進と並んで歩いていると、
「優さん」
「優さん」
と色々な人から声をかけられた。
優之進は、笑顔で挨拶していた。
「平川殿は、人気者ですね」
と孫次郎が言うと、
「そうですか」
と優之進は笑顔で言い、
「よかったら家でお茶でもどうですか?」
と聞かれたので、
「はい」
と孫次郎は答えた。
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