背中

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「ここです」 と優之進が、垣根の入り口を入ると、 「優さん、おかえり」 と大工の男の人が、庭の土をならしながら言った。 「政さん、ただいま戻りました。  いつもありがとうございます」 と優之進は、深く頭を下げた。 「優さん、おかえり。  お客さん?」 と玄関の方から女の子が出てきた。 「文さん、ただいま戻りました。  はい、そうです」 と深く頭を下げて答えると、 「じゃあ、お茶いれるね」 と文は、家の中に入っていく。 「文さん、ありがとうございます」 と優之進は、文の後ろ姿に声をかけてから、 「お言葉に甘えて座っていましょう」 と言って、縁側に2人並んで座った。 「家の庭で子供達が遊ぶから政さんが、間を見てならしてくれるのです」 と優之進が笑顔で言い、 「そうなのですか」 と孫次郎が言うと、 「優さんにはいつも色々助けてもらってるからな」 と政が言った。 文のいれたお茶を4人並んで縁側に座り飲んでいると、 「優さん」 と垣根の入り口から女の人が声をかけてきたので、 「はい」 と優之進は言って、入り口の方に歩いていく。 「さっき子供達が遊んでって言ってたけどさ」 と政は言って、一口お茶を飲み、 「本当は優さんが、毎晩何百回と刀を振っているんだよ」 と笑顔で言った。 「何百回も」 と孫次郎は驚いて言うと、
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