始まりの日

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始まりの日

この日、一人の男が何かを懐に隠すようにしまって部屋から出る。 出た時に会った人物に声をかける。 『あ…ちょっと出かけて来ますね』 《おい、何処行く?》 『えーひ・み・つ』 その質問に色っぽくわざと言う。 《秘密じゃねぇよ!てめぇは…っておい⁉》 怒っている隙に逃げる。 そして見慣れた街を歩く。 『もう…いつもいつも怒って…あんまり怒ってると血管が切れちゃうのに』 そして目的地に着く。 『やっぱりココは落ち着くなぁ』 男は、その場に立って五感で感じる。 『さて、そろそろ…』 懐からビンを出して、目の前に広がる大きな海に流す。 ゆらゆらと流れていくビンを見つめながら 『まぁ、返事なんて来るわけないか…どうせ暇つぶしで書いただけだし』 そしてビンが見えなくなったのを確認すると、背を向けて歩き出す。 まさかこれが運命の出会いになるとは思いもしなかった。
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