一章

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「それでも尚、君達二人が単独での任務を求めるなら、どちらか一方、アイビー1等軍曹と代わっても構わない。…まぁ、私としては、警戒度の高い西方だからこそ、将来有望な人材を派遣し、成長して貰いたいと考えているが……」 物は言いようだろう。 基地司令を務めるだけあって、この人物、人心掌握にも長けているみたいだ。 アイビーは、ノアの言葉に若干訝しげな表情を見せたが、オリビアとダンの二人は、『将来有望』という言葉にまんまと乗せられたようで、先程とは打って変わった、意気揚々とした表情をしている。 「…分かりました。オリビア2等軍曹とダン3等軍曹の両名、これより、西方での哨戒任務にあたります」 オリビアがノアに向かって敬礼する。 ダンも、慌ててそれに倣った。 「よろしい。話は以上だ、退室してもらって構わない。…ああ、アイビー1等軍曹は残るように。任務について話がある」 「かしこまりました」 ダンは、何か言いたげにアイビーを睨んでいたが、オリビアは最後、「任務、頑張ろうね」と彼女に耳打ちしながら退室して行った。 「……二人を、捨て駒にするおつもりですか」 二人が完全にその場から離れると、感情を感じさせない無機質な声音で、アイビーがノアに問いかけた。
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