一章

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「生死は問わないって、幾ら何でも……」 現状では、その写真の少女が狂信者の一味かどうかは確定していないようだ。 仮に、狂信者と関わりのある人物だったとしても、生死を問わずに身柄を拘束しろ、というのは些か、乱暴過ぎるようにも思える。 彼女が戸惑うのも無理はなかった。 『では、健闘を祈る』 ノアが回線を一方的に切る。 元から、彼女の意思など考慮されていない。 軍人は、例えどんな事情があろうと、上官が下す決定に従わなくてはならないのだ。 長い物には巻かれろ、という言葉を実直に呑み込めるのが彼女の強みであり、結果として、今の地位を築き上げて来た。 「……アイビー・グリーン、ヘデラ、出ます」 僅かに芽生える不信感を押し殺しながら、スロットルレバーを倒す。 煤けた煙を吐きながら、ヘデラは灰色の空へと飛び立って行った。
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