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「ダリ姉ー、そろそろお昼にするって爺ちゃんが」
村の少年が声をかけながら寄ってくる。
「分かった。もうちょいやってから行くよ」
「…これ、全部姉ちゃんが掘ったの?」
辺りに積み上がった土嚢袋を見ながら、少年が引き気味に呟く。
「当たり前でしょ、他に誰が居んのよ」
少年の頭上で綺麗に揺らめく炎を見て、ニット帽を被った頭へ、無意識に手がいった。
この世界では、頭に綺麗な炎を灯すのが普通らしい。
頭に炎が無いのは、胸に移植手術をしている中央の人間ぐらいで、それ以外の人は皆、小さかったり大きかったり、赤みがかかった色だったり優しげなオレンジ色だったりと、綺麗で個性豊かな炎を持っている。
でも、私にはそれが無い。
いや、あるにはあるんだけど、皆と比べてくすんだ色をしているし、今にも消えそうな程小さくて、何より頭に灯っていない。
小さい村であればある程、人とは違うものを排そうとするのが人間だ、って爺ちゃんは言って、私が皆から仲間外れにされないように、ニット帽を被らせるようになった。
そもそも、頭に被り物をしている人すら居ないんだから、これだって、十分排除の対象になりそうなものだけど、頭に大きな傷があってとか、上手いこと爺ちゃんが周りに説明してるらしい。
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