二章

8/15
前へ
/33ページ
次へ
ーーーーー ーーーーー 「ただいま、爺ちゃん」 声をかけるが、反応が無い。 見渡してみても、家の中に人の姿はなかった。 机の上には、出掛ける前に私が朝食として用意しておいた、麦パンと干し肉が食いかけのまま放置されている。 もしかしたら、また、隣の倉庫に篭って何かを作っているのかもしれない。 この村に来てからというもの、爺ちゃんは、行商人から安く買い叩いた掘削機をひたすら弄り続けている。 何をしているのか聞いても、一向に教えてくれない。 ここに来てから二年間、ずっと、そんな調子だ。 ー灰を仕舞うついでに、爺ちゃんの様子を見に行くか、、 入口に停めてあった台車を押しながら、倉庫へ向かう。 「爺ちゃん、帰ったよ」 案の定、倉庫の中では、バチバチと火花を散らしながら、爺ちゃんが掘削機を弄っていた。 「……遅かったじゃないか、何処に行っていた」 作業を続けたまま、爺ちゃんが呟く。 「灰を集めに行ってたんだよ。昨日は良く降ったから、大分集められた」 「灰が多く振る日は、危ないから外に出るなといつも言ってるだろう。もう、冬も近いんだ。何かあってからでは遅い」 苛立ちが含まれた爺ちゃんの声に、私は少し、ムキになってしまう。 「何で、外に出たら危ないの?危ない危ないって言うだけで、理由は何も教えてくれないじゃん。生活する為にはお金が必要なんだよ。爺ちゃん、ここに来てから、ずっと機械弄ってるだけで、麦パンや干し肉を買うお金を稼いでるのは私の方。今日だって、ちょっとでも足しになればと思って灰を掘りに行ったのに、それってそんなに悪い事なの?」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加