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「………すまない」
爺ちゃんが、作業している手を止める。
振り返る事は無かったから、表情までは分からなかったけど、その背中は何だか寂しそうだった。
爺ちゃんの背中って、あんなに小さかったっけ。
思えば、頭の炎も大分弱々しくなっている気がする。
「外は、危ないんだ。私は、ダリアが無事で居てくれるならそれで良い。お前だけが、私の支えなんだ。…だから、すまない。今は、それしか言えないけど、時が来たら、必ず説明する」
荒くなった呼吸を整えながら、爺ちゃんの小さい背中を見詰める。
「……分かった。私も、言い過ぎちゃってごめん。でも、ご飯はちゃんと食べてよね。爺ちゃんが居なくなったら、私、一人になっちゃうんだから」
ああ、と呟いて、爺ちゃんがまた作業を始めた。
そのまま倉庫を後にしようとした所で、ある事を思い出した私は声を上げる。
「あ、そういえば、また黒い汚れが拡がってたの。そのせいか、手の皮膚がボロボロ崩れちゃって、、村の子に保湿剤みたいなの貰ったんだけど、効果あるかな」
「……………なんだって」
今度は、爺ちゃんが私の方に振り返る。
その表情は、何かに怯えるように強ばっていた。
「だから、手が」
「見せてみなさい」
駆け寄ってきた爺ちゃんが、手袋を外して私の手を取る。
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