一章

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話が若干逸れてしまったな。 とりあえず今日は、キニス中央学園での生徒達の生活を覗いてみよう。 キニス中央学園は、ある目的の為に設立された機関であり、そこに通う少年少女らは、その目的の為に、日々勉学と訓練に励んでいる。 「さて、今日はこれまでのおさらいをする事にしよう。灰動機について、誰か説明できるものは?」 教師の言葉に、一人の少女が手を挙げる。 「アイビーか。答えてみなさい」 アイビーと呼ばれた少女は、抑揚のない、良く言えば静謐な、悪く言えば無機質な声で話し始める。 「はい。灰動機は、人類が影に対抗する為に作り出した人型兵器です。中央政府主導の元、灰の掘削機として作られたものを改良し、開発したものだと聞いています」 「うん、そうだな。じゃあ…、影とは何か、答えられるか?」 「影。私達の、命の灯火を消す事の出来る、唯一の存在。本来、死という概念からは無縁だった人類に、寿命という原罪を与えた存在。その実態は未だ分からず、影についての情報は、ここ中央と、一部の大都市を覗いて全てが秘匿されています」 「よく勉強してるな。アイビーの言う通り、我々は本来、死とは無縁の世界で生きてきた。しかし、この世界に灰が降り注いだのと同時に影が現れ、我々に死をもたらした、と伝えられている。上の人達は、何故かこの事を秘匿したがっているみたいだが……」
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