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「やってらんないよなぁ。影と戦って守ってやってるのは俺達なのに、外の奴ら、そんな事も知らず、呑気に暮らしてるんだぜ?」
「…ダン、私達は、使命を持ってここに居る。それに、安全な中央での生活という、充分な対価だって貰っているでしょ」
アイビーに嗜められ、ダンという少年は、拗ねた表情で顔を背ける。
「まぁまぁ、そこまでにしといてやらないか。アイビー、灰動機について、他に何か補足する事は?」
「……そうですね、灰動機は、その名の通り、灰を動力にして稼働しています。私達は、中央に来る際、契約に則って、炎の移植手術を行います。胸に移植した炎に、灰動機の動力管を接続する事で、動力管に循環する灰を燃やし動力としながら稼働させています。ただ……」
「ただ?」
「灰動機には、一種のセーフティプロトコルが備わっています。胸に移植した炎を囲う『箱』の隔壁を順次解放していく事で、灰動機の出力を上げる事が出来ますが、最大まで解放した場合、炎が消えてしまう可能性も考慮されます」
「そうだ。その為、灰動機の出力を上げる事は、よっぽどの事がない限り推奨されていない。さて、次は、この世界の歴史についてだが……」
教師が話を続けようとした所で、終わりを告げるベルの音が辺りに響き渡った。
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