とんでもない貧乏クジ

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 名前はダイゴ。本当の名前は、知られていないが。3代前から、この水星を開発しテラフォーミングに、その資産の全てを投げ打った一族だ。放っておいてやりたいところだが。 何せ、マーキュリーナイトはマーキュリー、 つまり水星にしかないのだから、困った話である。隣の金星は、金とダイヤの星だが。 この星も金星に負けない程の、お宝の眠った星だったのだ。  だから、それを輸出する事で、とんでもない利益を、一人占めしているのだ。連邦の管轄にしたいところだが。100年も放ったらかしの星だったので。 その利用価値も無いと、打ち捨てられた水星は、観光も資源もダイゴ一族に法的に所有権があった。  色々画策してみたが。支援者も多く。 何せ一族が開発した星、まるで要塞の様な星だったのだ。全ての工作は、利害関係の支援者の妨害もあって失敗。それなら適価で売ってもらう方が、お互い問題が少ないと政府は考えた訳だ。血生臭さいのは嫌だし、面倒になっているのだ。平和な世界に住む、最近の官僚は。  外宇宙へと、フロンティア時代は始まろうとしていたが。地球では既に精神的に終わっていた。という訳で、俺が出向いて来たのだが。  俺の仕事は、安全である事をと確認、確保する事で。決して交渉ではなかった。  つまり、交渉をさせてくれ、と交渉に向かうと言う、二度手間が俺の仕事だった。  と思いきや・・・。相方のロボットが、 とんでもない事を宣った。 「私が政府の交渉人です」 と、聞いてねぇよ・・・。  俺は直ぐに上司に無線で聞いたが。知らぬ存ぜぬで。対応しろと言われたのみだった。 完全に投げやがったな。俺は腹立たしくなっていた。
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