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世界が終わる。
そんなニュースが突然、建物についているテレビから流れてきた。それは平和な朝を壊すには十分すぎる言葉で。
上から見ると、慌てふためく人、電話をする人、まだそのニュースを知らない人、そんな冗談だろう!ノストラダムスの預言だって結局外れたんだから!と笑う人。様々道路に、人がゴミのようにごった返していた。
私はため息を一つ漏らす。終わるなら、粛々と終わってくれればいいのに。こんなにバタバタと終わるのは、結局なんらかの後悔を生み出すに違いない。やっぱり神様には、もう少し後にするべきだったんじゃないかと後で文句を言う必要がある。うるさい動物が居なくなった後、何万年後になるのか知らないけれど、なら静かだったのに。
というより、世界が終わる、というのはもう何日も前から分かっていたことのはずだ。にも関わらず、今までは政府とかいう、動物の生み出したとても素晴らしき集合(敢えてここでは集合と表記する)が隠していたのだ。そりゃあ動物達はこうもなる。
そんな感じで事態を達観していた私は、少しクククと笑った。思い出した。神様はわざわざ動物の為に、とても面白いことをしてくれたのだ。
動物達の世界では、時間の過ぎ方が違うらしい。なんとか線とかいうやつに沿って時間が進むとかおちゃらけたことを、小さな動物に教える動物を見たことがある。つまり、【今日】という概念が違うのだ。
だから神様は、今日が終わる時間によって徐々にこの星を破壊することにしたのだ。この国はかなり早めに破壊される国で、確か極東?とかにあるらしい。
残り24時間という概念の中、彼らはどうするのか?気になるが……それ以上に私にはやるべき事がある。
私は今から全生物に伝えなくてはならない。自分の持っている、動物の言うところの拡声器を口に持っていく。まぁ直接頭の中に話すのだが。
「あー、どうも。私はぁ、ガブリエルって言いまーす。基本、神様のお言葉を届けにくる役割を持ってるんですけど、今日は世界が滅びまーすっていう言葉持ってきました。まぁそういうわけなので、みなさんは精々頑張って生きてくださーい。それじゃー」
私はそれだけ言うと、羽をバサバサと動かし、天へと昇って行く。文句やら罵声やら聞こえてくるが、生憎この国を滅ぼすと決めたのは神だからさ。私はただ伝えるだけなんだよね。
「本当、人間って動物は馬鹿みたい」
空を飛んで空間を移動すると、動物が神様と呼んでいる『モノ』の下へついた。
私の話を聞いて、『それ』は何やら行動を起こす。多分、世界の破壊が始まったんだろう。
私は先ほど訪れた国を見つめた。もうすっかり夜が更けていたそこは地震とかいう現象も何も起こっていないのに、ガタガタと音を立てて地面が崩れていく。
それは紛れもなく、破滅だった。
『それ』はこの災害を見て、姿を消した。私は『それ』を見送る。
さて、また新たな星を作られるのはいつになることやら。
…また、私の仕事が増えるなぁ
fin
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