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3年夏大会
あっという間に季節は過ぎ、最後の夏がやってきた。
成田はこの一年で見違えるほどに成長し、練習試合にプロスカウトが大挙して押し寄せるほどの超高校級エースになっていた。
俺は相変わらずセンター兼二番手投手だった。
夏大前のメンバー発表。監督から背番号8を言い渡された時、俺は大きな安堵の息を吐いた。チームのために戦える、その事実がたまらなく誇らしかった。そして、選ばれなかった者の分まで全力でやらなければならないと思った。
地区予選は成田を中心に一枚岩で勝ち進み、俺たちは無事、夢の甲子園への切符を手に入れた。この夏、俺と成田の投手としての実力は昨年以上に大きく開いていたはずだ。にも関わらず、地区予選では俺に何度も登板機会がやってきた。
二番手投手として成田の疲労を最小限に抑えるという仕事を全うし、俺は大きな自信と喜びを得た。
地区予選の勢いそのままに俺たちは甲子園の1回戦も完勝した。
5回無失点の成田の後を受けて登板した俺は、4回を2失点に抑えてリードを守り、試合を締め括った。
試合後、勝利監督インタビューの場で記者からの質問が飛んだ。
「崎岡高校は成田選手のチームと言われる中で、そのエースを途中から温存できたのは大きかったのでは?」
それに対し監督はこう答えていた。
「確かにうちは成田が絶対的エースですが、『成田のチーム』というのは違います。成田も含め、チームの勝利のためなら目立たない仕事にも全力で取り組める子たちが揃っている。全員が脇役であり主人公なんです。
そのチーム力こそが、うちの最大の強みです」
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