黒にハマる

2/3
前へ
/88ページ
次へ
 アパートの1室、私の部屋に着いた。  珍しく、部屋が寒い。 「ごめん、今日は帰りが遅くて…部屋を暖めていなかったんだ」 「大丈夫だよ。もうすっかり暖かくなってきたし」  冷え性の私の為に、帰宅に合わせていつも暖房を入れておいてくれる。 「陽菜、ご飯すぐ準備するから先にお風呂で温まってきて」  久隆は部屋の掃除も食事の支度も、いつも完ぺきにこなしてくれる。  本当に、久隆と生活し始めて「ホコリ」というものを見たことが無い。 「いつもありがとう」  そう言って私は久隆に軽くキスをする。  あ、やばい。  つい感謝の気持ちが高まってキスをしてしまったけど……  久隆の表情から「優しさ」が消える。  久隆は私を乱暴に抱き寄せ、頬を掴み、熱いキスをする。  あー…久隆のスイッチが入ってしまった。  久隆は思う存分にキスで私の呼吸を止めた後、 「……何。一緒に風呂に入って欲しいのか?」と、恍惚とする私の表情を眺めては、そんなセリフを吐く。 「ん……き、今日はやめておきます…」  久隆はニッコリ笑って私の耳をひと噛みした後、私を洗面所へ放り込んだ。 「……後で覚悟しておけよ」  あぁ、そうだ。  明日は金曜日で午後出勤。  どうやら今夜はゆっくり眠れそうにありません……。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加