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アパートの1室、私の部屋に着いた。
珍しく、部屋が寒い。
「ごめん、今日は帰りが遅くて…部屋を暖めていなかったんだ」
「大丈夫だよ。もうすっかり暖かくなってきたし」
冷え性の私の為に、帰宅に合わせていつも暖房を入れておいてくれる。
「陽菜、ご飯すぐ準備するから先にお風呂で温まってきて」
久隆は部屋の掃除も食事の支度も、いつも完ぺきにこなしてくれる。
本当に、久隆と生活し始めて「ホコリ」というものを見たことが無い。
「いつもありがとう」
そう言って私は久隆に軽くキスをする。
あ、やばい。
つい感謝の気持ちが高まってキスをしてしまったけど……
久隆の表情から「優しさ」が消える。
久隆は私を乱暴に抱き寄せ、頬を掴み、熱いキスをする。
あー…黒久隆のスイッチが入ってしまった。
久隆は思う存分にキスで私の呼吸を止めた後、
「……何。一緒に風呂に入って欲しいのか?」と、恍惚とする私の表情を眺めては、そんなセリフを吐く。
「ん……き、今日はやめておきます…」
久隆はニッコリ笑って私の耳をひと噛みした後、私を洗面所へ放り込んだ。
「……後で覚悟しておけよ」
あぁ、そうだ。
明日は金曜日で午後出勤。
どうやら今夜はゆっくり眠れそうにありません……。
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