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サラサラの黒髪、少し切れ目だけど大きな瞳。
キレイな肌に、形の良い鼻と唇。
年は私と同じくらいだろうけど、こんなにキレイな顔の人間には25年間生きてきた中で会ったことが無い。
手を握られたままの至近距離で見つめられて、私の血圧が急上昇したかと思った。顔が、熱い。
「あ、あの、ウチのサロン、男性も出来ますよ…」
そう紹介して、しまったと思った。
今は予約がパンパンで、飛び入りの男性客を入れる余裕なんて無い。
男性を気にする女性もみえるので、普段から男性客は完全予約制なのだ。
「ほ、本当ですか!」
あぁぁ、興味を引いてしまったようだ。
「これならもしかして…うん、いいかもしれない」
男性は私の手をとったまま、何かブツブツと考え込んでいる。
「今お店の方は予約がいっぱいですが…明日の早朝なら大丈夫ですよ」
あぁぁ、言ってしまった。
時間外労働。
自宅はすぐそこだけど、疲労が溜まっているのに早起きして出勤しなくてはいけなくなる。
だけどつい、この男性にまたお会いできるならと思ったのか、私の口が勝手に営業をかけてしまった。
「是非お願いしたいです。何時に伺ったらいいですか?」
男性は私の手をとったまま、表情を輝かせてやる気に満ちていた。
いや、もう緊張し過ぎて手汗出てそう。
だけどイケメンに手を握られて、悪い気はしない。
とりあえず休憩時間も終わってしまうので、自己紹介をしてお名前と携帯番号を頂戴し、明日朝7時に来てもらうようお願いした。
立川久隆。
名前もイケメンだな。
あー…オーナーに頭下げて、早く出勤してもらわなくては。
男性の施術をする際は、原則2名以上のスタッフで対応することとしているのだ。
それがどんなにイケメンでも……。
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