吐水

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吐水

あぁ、ブランコから崩れ落ちちゃった。口が空いている、よだれたらして可愛いなこいつ〜……。 「私も行くよ」 あーあ、開けちゃったこの水筒。口つけちゃうよ?間接キスだよ?ねぇ止めないの〜? まぁ止めないよね、私たち仲良いし、間接キスどころで騒がない。それにあなたはもう、騒げない。私のせいで。 私が体に結構悪い感じの粉末を水に溶かしたから、この水筒はもう人間にとって毒でしかない。私は人間だから、これを飲んだらたぶん人間じゃなくなる。でも好きな人はさっき人間をやめた、だから私も人間をやめる。 「美味しいなぁ……」 一口飲めたけど、やっぱり怖いらしくて二口目は喉を通らない。思わず口から出してしまう。 「のま、なきゃ……」 口を大きく開けて上を向いて全て口の中に入るように水筒を揺らした。大体のものが口から溢れて制服を濡らす、地面の土が黒くなっていく。口の中に残った水も、体が飲むのを拒否している、舌が邪魔かもしれない。 「げほっ………んん゛っ…」 一口は飲めたからか咳が出てしまう。あぁ止まらない、呼吸ができない…。 「私もいけるらしいよ。」 私は人間だけど、人間じゃないとよく思われる。だから本当に人間をやめてやった。自分でも自分のことを人間かどうか怪しいとときどき感じたよ、だって時間戻せるんだもん。 でも、別に良い。好きな人に好かれてたから。うーん短い人生、この人のことを好きになれて良か
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