階段

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「帰らないの?」  え。今のは何だ?夢?立って寝ていたのか?私は机の上に置いてあるリュックのチャックを閉めている、閉めていたはず。こいつがあっちから歩いてきて、違うクラスに入ったらダメなのを無視して。今のは何………待てよ、「今の」ってなんだ。そうだ、私は帰る準備をしていて、今日は終礼が長引いてしまったからそれに嫌気が差していて…別に何も変なことは起こっていないのに、なぜ私はこんなに焦ったんだろう。 「ねぇって」 「あぁごめん、帰る帰る」  行くよ〜?と私の制服を引っ張る、正直やめてほしいけど止められない。彼女が辛そうな顔だから。  聞いてみれば…そうだ、何でそんな顔をしてるのか聞かないと。でも、でも……  でも?  でも、だからなんだろう。特に引っかかることなんてない。気になったならいつでも質問しあえる仲のはずなのに、さっきから始まったこの違和感は何だろう? 「なんか嫌なことあった?」 「ん〜??いや別に…」 「嘘だ、顔が変だぞ?」  いやそれは悪口だろとツッコまれながら階段を降りる。私たちは車で学校に来たから、お迎えを呼ぶ必要がある。そのために公衆電話に向かっている。なんとスマホは持ち込み禁止、馬鹿げている。 「いや…実はさ、悩み事…」 「ふーん」  こいつは毎日悩んでるからなぁ、この前聞いたやつ?新しい好きな人?実は彼氏できた?別にどれでも良いけど。  私の前でそんな顔をするのだけは勘弁してほしい。 「私さ」  おいおい友人、階段の途中で止まるのはやめてくれよ。つい笑ってしまった。 「止まるくらいの話なの?大丈夫?」  それでもやっぱり心配で、私も止まって後ろを振り向く。顔に出てるかも、心配なの。私が頼りない顔してどうすんだ。 「ごめんね」  えっ?今、私のこと押して…ねぇ、なんで笑いながら泣い
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