灯台下暗し

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 僕は方向転換した。トイレへと向かう。素早く個室に駆け込む。明かり窓に手をかけると、慣れた手付きで外した。 「下準備してて正解だったなぁ」  窓枠に身を滑り込ませ、アスファルトに降り立つ。外壁を背に角まで移動し、牛丼屋の店先を見た。 「警部、お疲れ様です!」  ガタイの良い警官が敬礼する。 「うむ、ご苦労」  薄汚れたジャンパーを正し、男は頷く。 「今日は非番なんだが、ニュースを見たもんでな。で、犯人の足取りは?」 「それがまだでして……やはり、唯一の手がかりはこの写真一枚だけかと」 「これは確か、一般人が提供してくれたものだったな? 強盗犯らしき人物の横顔だけしか写ってないせいで、分かりにくい……あっ!」  警部と呼ばれた男が叫んだ。 「この顔はさっきの!?」  僕は抜き足でその場から離れた。 「だから僕の顔に見覚えがあったのかぁ」  苦笑いを浮かべながら呟く。 「まさか商売敵だったとはね。追われる前に、退散しよっと」        
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