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「ああああ、すみませんすみませんすみません」
明美は自分の重たい体を無理矢理起こして、成子の足に縋って半狂乱のように謝り始めた。
「まったく、情けない」
成子はポケットから何か取り出した。山に持って行ったスタンガンが握られていた。嫌な予感がした。彼女は少しも臆することなく、明美の鎖骨辺りにスタンガンを当てて通電した。
何が起きているのか理解できなかった。五人はこの計画において、仲間同士じゃないのか。どうして明美はスタンガンを当てられたのか。明美の甲高いギシギシした叫び声が部屋中に響いた。体を起こして正座した明美は前後に揺れながら、あわあわわわわ、と意味不明な言葉を発した。
どうしたのか。由樹は他の人たちの様子を確認した。アンジェラは自分の爪先を見て、明美に視線を向けないようにしていた。清江は口元を抑えて目を瞑って明美の姿を見ないようにしていた。清江はどういうことか知っているのだろう。詳しく聞きたかったが、周囲の様子から何となく聞き出せなかった。
ただ、まずいところに来てしまったことだけはよく分かった。空気が腐っている。ロクなことが行われていないと察することができる。
明美の通電が終わってしばらくの間、部屋の中は沈黙で満たされた。すると強烈な異臭が漂い始めた。見ると、明美が正座したところから下痢便が流れ出ていた。
「何してんだよ」
成子が怒鳴り、明美の首筋に再び通電する。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
明美は土下座して謝る。床に頭を付けたため下痢便が前髪に付いた。下痢便で汚れた前髪が彼女の傷だらけの額に貼り付いた。
「どうすんのそれ」
成子に言われ、明美は紫色の唇を震わせるだけで何も言えない。ずっと黙ったままだった。視線もどこに向いているのか分からない。右目と左目が別の方向を向いている。成子はわざとらしい大きな溜め息を吐いてから、
「いつも通りにしろ」
と、吠えた。
「それだけは勘弁してください。お願いします。お願いします」
明美は懇願していた。何をするのだろうか。
「早くしろ」
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