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 調べると、性交痛というものだとわかった。とりたてて性行為にトラウマを持つわけではない私の、痛みの原因はおそらく大きさに起因した相性だろうと、自分の中で結論づけた。  私のほうが小さいのなら、無理やりにでも広げればいい。 「私が痛がっても、そのまま続けて」  お互い社会人になり、学生のころよりも会える頻度が減ってしまったことも、私の不安を掻き立てていた。  だから私は、あのときどうしても雅也を受け入れたかったのだ。  雅也がおそるおそる入ってきて、ゆっくりと私の中を進むにつれて、体が痛みに硬直した。下半身がまるでメリメリとひび割れていくかのように、押し広げられる。息を止めて痛みに耐えた。目の端から涙がこぼれ落ちて耳を濡らした。  雅也があと少しで私の奥に達しようとした瞬間、目の前にパチンと火花が散った。  私は息ができなくなった。佑月、佑月、と雅也の呼ぶ声が遠く聞こえていた。  気が付くと、下半身にはじんじんとした痛みの余韻だけが残り、雅也は抱き起こした私の背中をさすりながら、何度も「ごめん」と謝っていた。雅也は悪くない、大丈夫、と言いたかったのに、荒れた呼吸を自分でコントロールすることができなくなっていた。  セックスの最中に、私は過呼吸になっていたのだ。  それ以来、雅也は私を抱くことはない。  体に触れることはあっても、抱きしめてくれることはあっても、最後までしたことは、私たちは一度もないのだ。  未完成婚という言葉があるけれど、私たちは恋人の状態でそれだった。  お互いを欲してたはずなのにつながり合えない、未完成な恋。
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