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「佑月さんは恋心、私はセックス。そうすれば、雅也さんは佑月さんと付き合いながら、足りていなかったセックスも私で補える。佑月さんは、身体を求められずに雅也さんとの関係を続けられる。とてもいい案だと思いませんか?」  私と雅也の弱み――ではない。私の弱みをこんな明け透けに指摘されるとは思っていなかった。そもそも、雅也はそんなことまで瑠香に喋っているのか。  私たちが、長らくセックスレスだということまで。 「思わないわよ。それじゃああなたはただのセフレで、雅也はただの二股男じゃない。不健全極まりないわ」 「佑月はやっぱりそう思う?」雅也がポツリと呟いた。 「世間にそう見えたとしても、私たちが納得していたらそれでいいと思いません?」 「私は納得できないわ。ていうか、雅也の立場で言うならまだしも、あなたは一番割を食う立場になるじゃない。雅也と別れてくれって言われたほうが理解できるわよ」 「それじゃあダメなんです。私、佑月さんと付き合ってる雅也さんがいいんで。だから、三人で付き合いたいんです。だめですか」  私と付き合ってる雅也がいい? この女の思考回路がやっぱり理解不能だ。恋をしたら、普通相手を独占したくなるはずなのに。少なくとも、私はそうだ。 「無理よ」 「あ、そっか」 「今度はなに」 「いきなり付き合ってくださいって言っても、だめなのは当然ですよね。佑月さん、私のことはほとんど知らないわけだし。次は私と二人でデートしましょう」  にこりと笑みを張り付けるこの女には、どう足掻いても話が通じる気がしない。
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