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会社の同僚なのか、数人の男女が翔琉を待っている。 「ほら、呼んでるぞ。」 「あ、ああ。……なぁ悠、仕事が終わったら店の方へ行ってもいいか?」 翔琉の言葉に俺は笑みを消して無表情になる。 「店…暫くは早い時間に閉めてるんだ。ほら、早く行けって。」 中々戻ってこない翔琉に焦れたようにこちらへ向かって歩いてくる男の姿を見て、俺は慌てて翔琉を促した。 「ほら、早くっ。昼休みだって長くはないだろう。」 「あ――、はいはい。……なぁ、悠、明日は?明日もここに来る?」 それはもちろん。平日はお昼に合わせてキッチンカーを走らせる。ここでの売上は馬鹿にならないのだ。 「おい、南条もう行くぞー。」 焦れたように翔琉を呼ぶ声に流石の翔琉もタイムリミットを感じたのか慌てて踵を返した。 「わかったってっ。悠、俺もう行くけど毎日通うから。明日も来いよなっ。」 そう言って慌ただしく背を向けて戻っていく翔琉を見ながら、俺はあっという間の再会にざわざわとした胸のざわつきを感じていたのだった。
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