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翔琉の弁当には相手への愛情が籠っていた。
俺はそれを見て俺も母親に愛されていたのだと感じる事ができたのだ。
それは至極当たり前の事だったのに、何処かに置き忘れてしまっていた想いだった。
俺が愛されていた記憶は確かに俺の心にあった。
それを思い出させてくれたのは翔琉の弁当で。
あいつのさりげない優しさだ。
そう、きっと翔琉は俺の為に弁当と俺のパンを交換したんだろう。
それはただの気まぐれかも知れない。
無気力な俺を見てイライラしただけなのかも知れない。
それでも俺が感じたこの暖かな気持ちは翔琉の優しさに触れたからだ。
誰かが俺を見ていてくれた。
その事実が俺の心に触れた。
その時から俺の中で、翔琉の存在は『特別』になった……。
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