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俺が最後に見た翔琉も十分男らしかったけれど、会わなかった数年で翔琉の身体はグンと大人の男に近づいたようだ。 毎日パン屋の仕事も手伝って、重い荷物を運び続けている俺の「頑張りました筋肉」とは違って安定感のあるしっかりした身体付きをしているのがスーツの上からでも窺える。 単純にズルいと感じたのは同じ歳だと知っているからだろうか。 とはいえ、頬のラインもシャープに締まって精悍さを増しているし、何よりスーツに着られてる感が全くなかったのは流石だ。翔琉の落ち着いた態度がまた一朝一夕の物ではないと感じられ好印象を残す。 毎日たわいもない話をして結局一番一緒にいる時間が長かった男の、素晴らしく成長した姿を見た俺は内心自分との差にがっくりとしながらも、ほんの少し、そのキラキラしさに眩しさを感じてしまっていた。 そしてそんな格好良くなった男が地味キャラの自分なんかを覚えていてくれた事に嬉しい気持ちが浮かんでくるのもまた、確かな事ではあった。 声を掛けられた時、間違いなのかと思った。翔琉が俺に気付くとは正直信じられなかった。 それもそのはず、俺は高校時代の瓶底のような厚ぼったい眼鏡を強制的にコンタクトにされ、長く伸びたうざったい髪の毛もすっきり爽やかに切ってイメチェンを図っていたからだ。 まぁ、自分の意思というよりは接客商売でそれはマズい!と妹に散々注意された結果だったのだが。 美容師のお兄さんは俺の顔立ちはパンチが足りないから、と少々奇抜ではあったけれど髪色をやや赤みがかったカラーへと染めてくれた。
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