愛のかたち

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 先輩は背が高くて頭が良くてかっこいい。憧れの人。学年性別問わず、みんなから一目置かれる学校の人気者。比べて私は地味だしブスだし……。話しかけるのもおこがましい。  きっと、先輩は私の事なんか知りもしない。そうだよね、口を利いた事も無いんだもの。そんな事を考えながら、廊下を歩く先輩を追う。バレないようにこっそりと、遠くから背中を見守る。  先輩の周りには今日もたくさんの人が集まってる。男友達ならともかく、先輩に色目を使う女共は許せなかった。  あ、またあの女だ。  茶髪でパンツが見えそうな短いスカートをはいた女。最近妙に先輩に付き纏ってる。甘ったるい声で誘惑したり、身体をベタベタ触ったり、ああ気持ち悪い。  先輩、騙されないで。私は歯噛みしながら一生懸命思念を飛ばす。  日に日に先輩を狙う卑しい女共が増えていく。コバエの様に際限無く湧き出す。私は遠くから眺めてるだけで満足なのに、あいつらはどこまでも図々しい。
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