18人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に戻った私は魂が抜けていた。もちろん比喩的表現だ。本当に魂が抜けたら大変だ。
その理由は部活紹介でフラダンス部が無かった事。まさかとは思うけど……。いや、そうとは限らない。受験前に聖海のサイトで下調べした時、部活の項目にフラダンス部あったもん。
きっと何かの間違いだ。
「この後、体育館で教科書の販売を行いますので、皆さん速やかに体育館に移動して下さい。その間保護者の方には授業料の納付などの説明がされます」
荷物いっぱいになりそうだが車に積めば問題ない。ありがとうお母さん。
「明日から通常の授業になりますが、一時間目はLHMになります。そこで自己紹介してもらいますので何を話すか考えてきて下さい。何か質問はありますか?」
質問?ある!そう思ったと同時に私の右手は高々と挙がっていた。
「ええと……海凪さん?質問どうぞ」
「はい!」
ガタガタと音を鳴らし、椅子と机を弾き飛ばすような勢いで立ちあがり、クラス中の視線を集めた。
目立ってしまった……。
「えっと……海凪さん?」
ちょっと恥ずかしくなって下を向いた私に、先生の声が質問を促す。質問はただひとつ。
「あの!部活紹介の時フラダンス部の紹介が無かったんですが、フラダンス部……あ、ありますよね?!」
お願い!あると言ってぇぇぇぇっ!
そんな私の期待に先生の困った顔が私に陰を落とす。
嫌な予感がするんですけどぉ?
「フラダンス部はありません。ごめんなさいね」
やっぱり無いのか……。今から他の高校に編入する?いやいや!そんなの無理でしょ!
「学校のサイトにはフラダンス部あるって……」
「そうですね。今は無いと言うのが正しいです。確かに四年前までフラダンス部はありました。卒業や新入生の入部が無かった事で、そのまま廃部扱いになったんです」
「なんてこった……」
心の声が音声となり喉から漏れた。
「あの……海凪さん?他にも部活はあるから。明日の放課後にでも色々と部活見学してみたら良いと思いますよ?」
「はあ……そですね」
おそらく私の顔は絶望一色だったに違いない。
最初のコメントを投稿しよう!