第一章 ゼロから始まるフラダンス部

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教室に戻った私は魂が抜けていた。もちろん比喩的表現だ。本当に魂が抜けたら大変だ。 その理由は部活紹介でフラダンス部が無かった事。まさかとは思うけど……。いや、そうとは限らない。受験前に聖海のサイトで下調べした時、部活の項目にフラダンス部あったもん。 きっと何かの間違いだ。 「この後、体育館で教科書の販売を行いますので、皆さん速やかに体育館に移動して下さい。その間保護者の方には授業料の納付などの説明がされます」 荷物いっぱいになりそうだが車に積めば問題ない。ありがとうお母さん。 「明日から通常の授業になりますが、一時間目はLHM(ロングホームルーム)になります。そこで自己紹介してもらいますので何を話すか考えてきて下さい。何か質問はありますか?」 質問?ある!そう思ったと同時に私の右手は高々と挙がっていた。 「ええと……海凪さん?質問どうぞ」 「はい!」 ガタガタと音を鳴らし、椅子と机を弾き飛ばすような勢いで立ちあがり、クラス中の視線を集めた。 目立ってしまった……。 「えっと……海凪さん?」 ちょっと恥ずかしくなって下を向いた私に、先生の声が質問を促す。質問はただひとつ。 「あの!部活紹介の時フラダンス部の紹介が無かったんですが、フラダンス部……あ、ありますよね?!」 お願い!あると言ってぇぇぇぇっ! そんな私の期待に先生の困った顔が私に陰を落とす。 嫌な予感がするんですけどぉ? 「フラダンス部はありません。ごめんなさいね」 やっぱり無いのか……。今から他の高校に編入する?いやいや!そんなの無理でしょ! 「学校のサイトにはフラダンス部あるって……」 「そうですね。今は無いと言うのが正しいです。確かに四年前までフラダンス部はありました。卒業や新入生の入部が無かった事で、そのまま廃部扱いになったんです」 「なんてこった……」 心の声が音声となり喉から漏れた。 「あの……海凪さん?他にも部活はあるから。明日の放課後にでも色々と部活見学してみたら良いと思いますよ?」 「はあ……そですね」 おそらく私の顔は絶望一色だったに違いない。
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