第一章 ゼロから始まるフラダンス部

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入学式の翌日。教室のドアの前で大きなため息をついた。理由はもちろんフラダンス部が廃部になっていたと言う衝撃的で絶望的な事実を知ってしまったからだ。 陸上を捨ててまで選んだってのに、あんまりだ。かと言って今さら陸上をやろうとも思わない。 私の決意はそんないい加減なものじゃない。優香里に何て報告すれば良いのさ? 「ちょっとぉ、そんなとこ突っ立ってんなし。邪魔になるっての」 不意に背中から声がしてビクッとした。振り返ると入学式で見た茶髪ギャルが、だるそうに私を見ている。着崩された制服は胸元が開いており明るい赤紫のフリルが見えている。いや、見せてんのか? ブレザーは袖を結んで腰に巻かれていた。ちゃんと制服を着なさいってーの。 改めて近くで見るとツケマの数がヤバい。一瞬、小さい頃に流行った歌のサビが脳内でループした。 この人、確か隣のクラスだ。ギャルって誰にでと絡むらしい。と言うのは偏見だろうか?私なら知らない人に「突っ立ってんな」なんて言える鋼のメンタルと度胸は持ちあわせてない。 「ご、ごめんなさい。考え事してたから」 「考え事?帰りにどこ遊び行くかとか、そんな感じ?」 そんな単純な理由じゃねーよ! そう叫びたいが残念ながらギャルに対して言える筈もなく、言葉の出ない口がパクパク動くだけだった。 「私、教室入るから。突っ立っててゴメンね」 ギャルに言えた精一杯の言葉がこれだった。 我ながら嫌味くさいと思ったが、ギャルは気にする風もなく、隣のクラスへと向かって行った。 dd5b7113-e350-45f5-9e9b-ab1982a8d514
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