第一章 ゼロから始まるフラダンス部

7/17
前へ
/355ページ
次へ
自己紹介の文章が思い出せない。昨日はちゃんと暗記したじゃん。 そんなに難しい内容じゃなかったよ?もしかして私、物凄く緊張してる? 固まっている私の視界に欠伸をする男子が入った。ヤバい……これ失敗したら弄れてハブられる未来しか見えない。 早く何か言わなくちゃ。何か! 「海凪さん?具合が悪いなら保健室に──」 先生が心配して声をかけてくる。保健室に一時避難する?いやいや、それこそ自己紹介で緊張して保健室送りになった奴って悪い意味で有名になってしまうじゃないの! 「海凪さん?」 「はいっ!すみません!海凪奈瑠美、フラダンス部入部希望!よろしくお願いします!」 頭を勢い良く下げてハッとした。それと同時に先生の言葉が私の胸を潰しそうになった。 「ええと……昨日も話したけど、フラダンス部は廃部になって今は無いのよ?」 わかってる……。頭が真っ白で咄嗟に最初に考えた挨拶のセリフを言ってしまったのだ。 教室は笑い半分、同情半分てとこだ。同情組は入りたい部活が廃部になってる事に対しての同情だろう。 ここは言い直して早いとこ椅子に座ろう。そして貝になろう。 「間違えました!フラダンス部は無いのでとりあえず何かやりたい部活を探したいです!」 そそくさと席に座ると顔を下に向けた。きっと私の顔は恥ずかしさで真っ赤だろう。 ……やっちまった~!
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加