第一章 ゼロから始まるフラダンス部

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一通りの授業を受け、放課後になった。家へ帰る生徒、部活見学に向かう生徒、または教室に残り友人とのお喋りを楽しむ生徒。みんな様々な放課後だ。 帰宅部志望の面々の中にも真っ直ぐ帰る者と寄り道する者に分かれる。 私はどのカテゴリーになるのか。今は全く決まらない。先生は他の部活の見学を勧めてくださったが、高校ではフラダンス一本に決めていた私にそんな気は起きなかったのだ。 「帰ろ……」 ゆっくりと立ち上がる。陸上で鍛えた脚もこの時ばかりは頼りなく弱々しかった。 廊下に出るとなかなか騒がしい。部活見学に行く男女が同志と共に目当ての場所へと向かうのだろう。 ──陸上やろうかな── 一瞬そんな考えが浮かんだ。でもそれは陸上にもフラダンスにも失礼だ。こんな中途半端な気持ちで部活なんか出来ない。 とりあえず帰ったら何かやりたい事でも探そう。そう結論づけた時には昇降口に立っていた。よくもまぁ、考え事しながら歩いて階段で転ばなかったものだと感心する。因みに一年の教室は二階にある。 靴を履き替えていた時だった。 「あれ?昨日ドアの前で突っ立ってた子じゃね?」 昨日のギャルだ。この時の私は怪訝な表情に違いない。別にギャルだからって嫌う訳じゃない。ただ苦手なだけで普通に友達になれると思う。 だけど、今はそっとしておいて欲しい気分なのだ。フラダンス部が無いってだけで絶望のどん底だと言うのに絡まれたくない。 こんなメンタルな時にギャル特有のゼロ距離絡みをされたら八つ当りしてしまいそうな自分が居る。 ここは適当に流してダッシュで逃げよう。
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