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「パパ、起きて」
太陽の光を浴びて、男は目を覚ました。
なんだろう、身体が重い。
気が付けば男はベッドに横たわっている。
どうやら昨夜はいつの間にか帰宅していて、悪い夢を見ていたらしい。
「もう、帰って来るなりいきなり眠っちゃって。そんなに疲れてたの?」
妻と娘の言葉に、徐々に意識が覚醒していく。
しかし、いつ帰ったかの記憶がなかった。
「オレ、いつここに来た?」
「いつって午前0時ごろよ? 覚えてないの?」
わからなかった。
まるで記憶になかった。
「疲れてたんだな。ひどい土砂降りで、途中で3人のヒッチハイカーを乗せた夢を見ていた」
「ヒッチハイカー?」
「ああ……。3人とも娘に会いたいって言ってさ」
その言葉に妻がハッとする。
「3人?」
「ああ、3人」
「4人じゃなくて?」
「3人だよ。ブロンドの女性と小太りな老人と10歳くらいの女の子」
「……あなたを入れたら4人よ」
「……?」
男は首を傾げた。
突然何を言い出すんだと思った。
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