第九章・社長のイトコ⁉

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 何でよりにもよってそっちを入手するのだろうか? いい迷惑だわ。 「どこで、その話を入手したのでしょうか?」 「それは、極秘だな。まぁ俺の手にかかれば、あいつの情報を入手するぐらい簡単だけどさ」  得意気に笑ってくる。そういえば、社長が言っていたわね。彼は、IQが百八十以上もある天才だって……。  何を企んでるか分からない以上は、隙を見せてはいけないような気がするわ。  しかし警戒をする私に彼は近づいてくる。 「あんたさ……社内の噂、最悪らしいじゃん? あの秀一を誘惑して愛人の座につき子供まで産んでさ。財産目当てか? まぁ、あいつが結婚してたのも驚きだけどさ」  と言ってきた。まんまとそっちを信じているようだ。  ただの噂話を信じるなんて意外と馬……いやいや。騙されやすいのかしら?  本来なら、今すぐにでも違うと誤解を解きたい。だが、冷静に考えると誤解を解く方がまずいような気がするわ。  彼は社長の愛人としての私に近付いてきている訳だし。何か企んでいるのかも知れない。なのに妻だと知ったら何をされるか分かったものではないわ。  ココには棗が居るし、あまり騒ぎにしたくない。仕方がないので、あえて愛人のフリをすることにした。 「それで、社長の愛人と知りながら私に何の用です?」 「おや……? あんまり動揺しないんだね? さすが愛人に居座るだけはあるな。だったらさ……俺と手を組まない? あんたも財産目当てか、ただ社長を愛しているのなら奥さんとか邪魔だろ?」  なるほど。どうやら仲間としての勧誘らしいわね。  愛人で奥さんを邪魔だと思っている私を仲間に引き込み……社長を追い込む気かしら? 確かに。方法としては、いい手かも知れないわね。私が、その妻ではなくて本物の愛人だったらだけど。 「フフッ……面白い事を言い出しますね? 私があなたと手を組めだなんて」 「悪い話ではないと思うけど? 俺は秀一を陥れたい。君は奥さんが邪魔に思っている訳だし。だったらさ……俺があいつの奥さんを誑し込むから。その間に奥さんの座を奪ったらいいじゃん?」  名案とばかりに私に言ってくる。何とも自己中な発言だ!  私が、その状況だったら怒り狂っていただろう。ぶん殴りたいって……。
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