ボッチくんの恋…この気持ち、なんだろう?

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ぼく、ボッチくん 石でできた彫刻の胸像 裏庭の住人。 詳しくは「ぼく、ボッチくん」を 読んでみてね https://estar.jp/novels/25682788 隣にはゴミ箱くん(かなりいいヤツ) 後ろには椿の木さん (かなり美人らしいけど ぼくは振り向けないので見たことない) ぼくの周りは いろんな草が生えるし (主に、苔さんやシダさん) ワラジムシくんやダンゴムシくん ナメクジさんなんかも この裏庭で暮らしてて みんな地味で大人しいタイプだけどフレンドリー。 だからぼくは 名前ほど「ボッチ」じゃない。 火曜日と金曜日の朝には お母さんが ゴミ箱くんを運ぶついでに ぼくの頭をポンポンして話しかけてくれる。 おはよー 今日は午後から土砂降りだってさ! とか。 そんな平和な毎日に 最近ちょっと 妙なことが起こってる。 ぼくの居るところから 玄関の階段の向こう側の 古い木の柵が、少しだけ見える。 今年の春、その柵の端っこに 見慣れない緑の枝が にゅうーっと伸びてきた。 その枝は 丸い濃い緑の葉っぱを いっぱい茂らせたと思ったら 滴型の大きな蕾を1つ、つけた。 蕾はだんだん膨らんで 5日前、とうとう開いた。 椿さんの花びらより赤い花びらが いっぱい重なったその花は 風が吹くとゆらゆら揺れて笑う。 朝はツユをキラキラ光らせながら 気持ちよさそうに寝てる。 ぼくは裏庭のいろんな花を知ってる。 薄いピンクのヒメシオンさん 紫色のサザナミソウさん 白いドクダミさん でも、あんなに赤い大きな花は 生まれて初めて見た。 その花が咲いてから ぼくは 大きな声で歌いたいような(歌ったことないけど) スキップしたいような(したことないけど) ウキウキした気持ちになった。 でもその花が ぼくを見ているような気がすると 何処かに隠れてしまいたいような わあっと叫んでしまいそうな なんとも言えない 落ち着かない気持ちにもなった。 ぼく、病気になったのかな… そのことを 今年もぼくに周りでワッサワサと咲き出した ドクダミさんに打ち明けてみた。
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