一目惚れ

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一目惚れ

学校から帰って来て、手洗いうがいを念入りに済ませた俺は、キッチンのテーブルに置いてある母のメモをチェックする。 『翔ちゃん、お米はいつもより多めに炊いておいてください。お金まだあるよね? マックでも買って食べてね。じゃあ頑張って』 母のパートが今日は遅出だから、ご飯を仕掛けるのは俺の役目。スマホで音楽流しながら米を研ぐ。リズミカルに手早く。 炊飯器をセットしたのとほぼ同じタイミングで、佳奈からラ◯ンが来た。 『今日塾だよね 何時から? ウチに寄る時間あるかな? 冷凍たこ焼きあるんだけど一緒に食べない?』 佳奈は隣に住む同い年の幼なじみ。幼稚園からずっと一緒の親戚みたいな存在だ。高校で離れてしまったけど、むしろ高校生になってから仲良くなった気もする。 『いいねー! ご馳走になってもいいの?』 『もちろんだよ! お母さんが50個入り買って来てさw 冷凍庫入りきらないんで』 俺は冷凍庫と格闘する佳奈を思い浮かべてニヤニヤした。 『ありがてえ〜今すぐお邪魔します』 俺は冷蔵庫から1.5リットル入りダイエットコーラを取り出した。母が買って来たものだが、貰ってもいいだろう。
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