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ふと、佳奈の部屋に飾られている着せ替え人形と、その家具に目が行った。
もう何年も飾られているそれは、佳奈の部屋の出窓を、可愛い色とセンスで彩っている。
人形の部屋の住人は、何故か二体の男の子たち。リカちゃん人形のボーイフレンドたちだろうか。
「リカちゃんは飾らないの?」
「え?」
唐突な俺の質問に、佳奈が俺の目線を追うようにして出窓を見る。彼女は「ああ」と笑って、「リカちゃんは、ウチから独立してしまったの」と答えた。
聞けば、小学生の従姉妹に、リカちゃんは全部あげてしまったらしい。
「男ふたりが残されたわけか」
「でもいいの。このふたりの王子様は幸せそうに見えるから。こうして、ふたり並んでる姿はとてもお似合いだし」
俺は、改めて彼らを見る。
お似合いか、なるほどね。
二体の人形は、王子様らしく清らかで堂々として、とても素敵に見えた。
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