恋愛探偵カレンの華麗なる事件簿〜四月の嘘編

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 * * * 「青山君、お疲れ様でした」 「ホントにな」 「でも、無事に解決できてよかったじゃないですか」 「謎に関してはな」 「そうですね。確かに、山城さん的には、誤解をとくのが本番ですし」 「まあ、あの友達が説明してくれるって言うんだから、誤解はとけるだろ。でも、あの感じだと、わかってなさそうだけど」 「かもしれませんけど、お祝いしてくれる人がいるのはいいことですよ。それに、それこそ、二人の本番は遊園地デートですから」 「そうだろうけど、俺だったらやだな」 誤解がとけたら、互いに両片想いに気づかされる。 そんなカップル成立の瞬間に居合わせる北見は空気となるのか、キューピットになるのか。 「青山君なら、そっといなくなりそうですね」 そんな想像をして笑うカレンに、麦人の視線がなんとも彷徨う。 やだと思った立場が、両片想いを察する彼の方だったのだから。 勝手に気まずくなってしまう麦人は、ふと、もうひとつ解けていない謎があったと思い出した。 「なんで、水筒を持参してたのに、パックジュースを買いに行ったんだ」 「え!? ただの気分。そう、甘い物が飲みたい気分だっただけです」 「ふうん」 まさか、青山の姿が見えたから、なんとなく追いかけたついでだとは言えないカレンは、すかさず連休の予定に話題を切り替えるのだった。          case closed
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