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春うらら、そろそろ桜も満開かなとか思いながらパックジュースを買いに行った戻りの英 カレンは、購買帰りの青山 麦人と行き合ったので、世間話をしていた。
「そういえば、この前、百均でカリングッズを見つけたので、色々買い集めてみたんですよ。見てみますか?」
とりあえず、今手元にある財布のチャームを見せようとして驚いた。
廊下の真ん中、それも、カレン達とすれ違うなりしゃがみ込んだ女の子が、今にも死にそうな声音で「もう無理〜」と泣き出してしまったのだから。
「えっと、その、大丈夫ですか」
自称、恋愛探偵を名乗るカレンだけれども、こんな言葉しかかけられなかったのは情けない。
どう見たって大丈夫じゃなさそうな相手なのに。
どうしたものかと麦人と見合っていたら、パタパタと駆けてくる足音がいくらか聞こえてきて顔を上げた。
「あ、英さん。ね、そこにいるのって、山城?」
確認してきたのは同じクラスの北見だ。
「えーと、たぶん? いつも、一緒にお昼してる人ですよね」
北見のグループはクラスが別れちゃったらしく、お昼にカレンのクラスで集まっているので覚えていたけど、名前までは自信がなかった。
あと、蹲っているせいで顔が確認できない。
「ごめんね。トイレだって抜けてから、ぜんぜん戻ってこないから見に来たんだけど……」
見下ろす先の山城は鼻をぐしゅぐしゅさせながら、まだ丸くなって動けそうにない。
「しゃーない。英さんとそこの男子、悪いけど、ソレ、保健室に連れてってくれないかな」
麦人は迷惑そうな顔をしたけど、断りはしなかったので、カレンも了承する。
「いいですけど、北見さんは?」
「三人分のお弁当を持ってくから、教室に戻る。待ってるメンバーにも伝言しなきゃだし」
「……三人分?」
確か、彼女達のグループは4人だったはず。
「そ。三人分。お連れさんは持参してるみたいだからね」
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