君にふたたび出会うまで

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「リンゴジュースあるけど飲む?」  今まで気づかなかったけど、彼の手元には未開封のペットボトルがあった。リンゴのイラストが大きくプリントされている。 「なんで? 自分で買ったんじゃないの?」  そのラベルには見覚えがある。  購買の自販機に並んでいたはずだ。 「水買おうとしたんだけど、お金入れたら違うの押された」  ああ、とため息みたいにわたしはつぶやいた。その光景が今にも目に浮かぶようだったから。それをされたときの絶望感も。 「くだらないことするやついるよね。ホント死ねばいいのに」  後半は自分へのつぶやきで、それは本当の本音だったけど、「そこまでは思わないよ」って諭すように言われて、濁った悪意もあやふやに希釈された。 「甘いのはちょっと飲めなくて」  謝るように彼は言う。受けとったリンゴジュースは人工甘味料たっぷりで、確かにしっかり甘かった。 *  次の日、屋上できのうと同じ後ろ姿を見つけたとき、知らず胸が高鳴った。その鼓動で会えるのを期待していたことを知る。 「今日もサボり?」  彼も振りかえった。そっちこそ、と言いたくなるのをこらえて、ペットボトルを差しだした。ミネラルウォーターいろはす。 「きのう、ジュースもらったから」 「そんなの、べつによかったのに」  そう言いつつ、受けとってもらえた。  きのう嫌がらせをしたやつ、死ななくてもいいけど土砂降りの雨に降られるように、わたしはこっそり呪いをかける。そうやって人知れずかけた呪いが今までたくさんある気がする。
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