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「さて。勝負を始めようじゃないか、ユウサくん」
「絶対に負けねーぞ、コウイチ」
「ルールは簡単。自分達の前には、二つの道がある。そして君に選択権を譲ろう。どちらの道を歩むのか、君が決めるが良い。自分はもう一つの道を進む」
「それで、どーなるんだよ……」
「ある道に待つのは、幸福。素晴らしき宝が手に入る。ある道に待つのは、不幸……。後者を選択した場合、君はどうなってしまうのかねぇ。あはははは!」
「ふざけんなよ、勝つのは俺だ。そして、この上ない幸せを手に入れてやらぁ!」
「じゃあ、左の道をA。右の道をBとしよう。当たりは二分の一だ。このロシアン・ルーレット、神が微笑むのはどちらなのかな」
「俺は神の力なんて要らねぇ。信じるは俺自身のみだ」
「ああそう。なら君が自身の運命を決めてくれ。どうせ導かれるは地獄だろうけど」
「くそ、馬鹿にしやがって。どっちが正解だ……」
「早く選んでくれないかな? 今すぐ選択しなければ、君には決断する意思が無いとして、自分が勝利ってことにするよ?」
「はぁ!? あー分かった分かった。俺はAの道を行く。それで良いだろ?」
「へぇ……その理由は君の名字が『アダチ』で頭文字がAだからだろ?」
「ゔっ……」
「図星かぁ。その適当で、大雑把で、荒い性格。果たして吉と出るかな、凶と出るかな」
「ごちゃごちゃうるせぇ。俺が幸せを掴んでやるよ」
「じゃあ進もうか。互いが選んだその道へ」
「ユウサくん、全て見えたよ。自分は幸せ者だ。神は自分を愛していたんだよ! 自分が進むは、ハッピーエンドだ!」
「嘘だろ……嘘、だ、ろ?」
「あははははは! さぁ苦しめ、足掻け、絶望し、そして跪け。自分が選ばれし者なんだ! あばよ、お馬鹿野郎。一生そこで頭抱えてろ」
「ざけんな……ふざけんなよ、このメガネ野郎……。最後の最後に本性見せやがって。ちくしょう、ちくしょおおおおぉぉぉぉ!」
「この金色の秘宝は、自分のものだ!」
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