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 木下リエが結婚した。僕があのニュースを見た4である。そのことを知ったのは、田辺が朝から発狂して僕にそれを報告してきたことからだ。 「ねー、リエちゃんが結婚したぁぁぁぁ! お前の言う通りになっちゃったよぉぉぉ! このがぁぁぁ!!」  さすがにあの木下リエが結婚したということもあり、他の男性職員もショックを受けていた。SNS上では案の定「リエロス」がトレンド入りしており、中にはショックすぎて仕事に行けないと呟いている人もいた。 「しかも相手一般人って……リエちゃんと結婚できる人を一般人って言わねぇよなぁ。一般人なら俺でも結婚できたわけだろー」  酔っ払ってるのかと思うほど、田辺が饒舌になっている。僕は宥めるように背中を撫でながら「はいはい」と適当に相槌を打った。 「もう今日は飲みに行くぞ、二村ー! 定時に上がって、飲み行くぞ!」 「はいはい。上がれたらな」 「上がるんだよ!!」  ほぼヤケクソといった口調で田辺が言った。どかっと席に座ると、唇を尖らせながらパソコンを起動した。  その隣で僕は真っ黒な画面を眺めた。画面に反射して僕の顔が見える。あのニュースは見間違いではなかった。でも僕があのニュースを知ったのは4日前だ。今日解禁されたニュースを電車が知っているはずもないし、第一に流れる訳がない。でもあれは見間違いじゃなかった。一体どういうことだ?  もしそれが正しかったのなら、僕は未来のニュースを見たということになる。そんなの、科学的に絶対に無理だ。
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