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 交通公共機関で偶然見たモニターに未来のニュースが流れていた。ファンタジーすぎる。でもあれが見間違いではなかったと分かった以上、ファンタジーが現実になってしまったとしか言えない。  これは確かめるしかない。  結局、その日も定時で上がることはできず、僕と田辺は飲みに行かなかった。お互い終電に乗り、大人しく帰宅した。帰宅ラッシュが過ぎてるとは言えど、他にも終電帰りのサラリーマンやOL、大学生などがいた為、車内は混んでいた。しかし座れないほどではなかった。僕はいつもの車両に乗り、モニターがはっきり見える位置に座る。今映し出されているニュースは今日発表されたニュースだった。  瞬きすることさえも惜しく、僕は目が乾くまでじっとモニターを凝視した。しかし一向に未来のニュースは流れてこない。 「単に見間違いが事実になっただけなのかな……」  段々と僕は疲れてきて、瞬きをする回数も多くなってきた。おまけに眠い。朝から晩までずっと働いていた為、頭も回らなかった。そろそろ最寄り駅にも着く。僕はハァっと溜息を吐くと、こつんと窓に頭を預けた。  真っ暗だった外が、別の暗闇に包まれた。トンネルだ。これを抜けたら、何駅かで最寄りに着く。  僕はモニターに視線を戻した。画面が一瞬歪んだように見える。ああ、疲れているなと僕は思った。 は令和》  僕は思わず立ち上がってしまった。そこでトンネルが終わる。周りに座っていた人は一瞬僕を見たが、興味無さそうに手元のスマホに視線を戻した。
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