5人が本棚に入れています
本棚に追加
猫になった!?
「ふにゃあぁぁ…」
いつものように目覚ましが激しく音を立てたことで心地よい眠りから強制的に目覚めさせられる
二度寝をしたいところだが、そうにもいかない。
今日は水曜日であり、朝練がある日なのだ!密かに思いを寄せているマネージャー水嶋に朝から会えることを思い浮かべると頬が緩んでしまう
しかし、今日はおかしい。なんとなくだが、目覚ましの音がいつもより違う感じで聞こえるし、視界も悪い。
寝起きだからだろうか…?
「ちょっとぉ!耀哉起きたの?目覚ましがうるさいわよ」と母がノックもなしにズカズカと入ってくる
「勝手に入ってくんな!」そう声を上げようとした。
しかし、喉から出た声は
「にゃっ、にゃあぁ!」だった
「あ〜、もううるさいわね!てかいないし!朝練行ったのかしら…?」と母には聞こえていない様子だった
目覚ましの轟音でかき消されたのだろう
「もう〜困った子ね…」なんてため息をつきながら、母は部屋から出て行った
(え?てか俺のここにいるのに、なんで気づかないんだよ?)と不思議に思う。
至っていつも通り、ベットの中へいるのだ。なのに母は全く気づかなかった
そこで、違和感を大量に感じ、とりあえずベットから出ることを決意する。
春の穏やかな気候、二度寝にはうってつけの気温のなか渋々ベットから降り立つ
頭の中は疑問符で埋め尽くされている。
(なんだろう…)といつもと同じように立ちあがろうとすると、全く立ち上がることができない
「っ…!?」
足が短く、立ち上がれないのだ。
そこで、やっと自分の体のことがわかった
「にゃぁあああああ!?」
焦茶と灰色と白い体。そして短い胴体
これは春の暖かな気候が見せた夢、なのだろうか…?なんて現実逃避をしてしまったほどだ
「にゃあああ」
一度深呼吸を行い、体を休める。
いつもとの姿へ戻れるにかわからないため、学校を休む旨を部活のラインや友達へと送る
「にゃあぁ、うにゃあぁ?」
きっかけがあるはずだ。そう信じて1日前の記憶を探る
『あぁあ…水嶋先輩、彼氏できちまった…』と炭酸を片手にベランダで嘆いた
柵に手をかけ、黄昏ていると、隣の家の庭が見え、猫が恋人同士のように寄り添っているのが見えた
(羨ましいな〜)なんて、ぼーlちと見つめていると、一匹の猫が勝ち誇ったように目を細め、「にゃ〜」と鳴いた
『あの駄猫!』
猫にまで馬鹿にされたようで、落ち込んでおりつい、口から出たのは、
『猫になりてぇ…』だった
最初のコメントを投稿しよう!