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「お兄ちゃん、一緒にコスプレしない!?」
「え、えーーー!?」
まさかの事に奏多は驚いてしまいすぐに首を横に振って「無理無理!」と断った。
キャラになりきってポーズをとって写真撮影をするコスプレは、見るのは好きだったが自分はこんな綺麗に出来ないだろうなーと思っていた。まさか妹からお誘いされるとは思ってもいなかった。
「でもお兄ちゃん、肌綺麗だし身長普通にあるし絶対イケメンなマルスになると思うんだけどなー」
「しかも最推しのマルス!?無理だって、あんな美形イケメンになれないって!それにカツラとか衣装とかどうするんだよ!」
「私がバイトをしているのは課金もあるけど、コスプレの道具を集める為でもあったんだよ!」
妹の初めて知る趣味に驚きながらもどうしようか悩んでいると愛佳がしゅんと落ち込んでいるのに気づいた。
「私、お兄ちゃんと一緒にコスプレしたかっただけなのに…」
「え、あ、まな…」
「ごめんね、お兄ちゃん…私の我儘に付き合わせようとしちゃって…」
「っ…ま、愛佳…」
可愛い妹の落ち込む姿に奏多の胸はズキズキ痛み、がっくしと肩を落とすとボソッと呟いた。
「わ、分かった…やります…」
「ほんと!?わーい、お兄ちゃん大好きー!」
さっきまで落ち込んでいたのが嘘のようにパァっと表情を明るくして抱き着いてくる愛佳に奏多は乾いた笑いを上げるしかなかった。
こうして、奏多は人生初のコスプレをすることになってしまった…。
そして愛佳に言われて色々準備をしていき、数日後の週末には…
コスイベに参加をしていた。
「う、うわー…」
何処を見ても二次元からそのまま来たのではないかというくらい知っているキャラが居た。
準備を終えて愛佳を待っている奏多は周りをキョロキョロして見ていた。
するとそこに狂恋のキャラにコスプレをした愛佳がやってきて奏多の隣に立った。
「あ、愛佳…」
「!!!お兄ちゃん、すっっっごくイケメンだよーーー!!!」
目をキラキラ輝かせながら言ってきた愛佳に奏多は頬を赤らめながら照れた。
今回、奏多が選んだのは最推しのマルス…ではなく、マルスのライバル的存在で気怠げでワイルド系のイケメン王子のレオンにしたのであった。
最推しをやるのは流石に烏滸がましいと思ったのと、マルスと撮影をするとなったのなら…レオンが1番やっていて楽しいかなと思ったのであった。
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