いつもの店で

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「 なかなか条件が厳しいね。   そこまでの店なら、もう、この界隈では知られてるんじゃない?」  斗真はいつも冷静で的確だ。 「 そうなのよ。   単なるクソバカハゲ部長の意地悪なのよ。だからこそ、逆に負けられないというか…。」 「 真理子ちゃんだね、そういうとこ。   でも、俺が知ってる店は真理子ちゃんも知ってるだろうからなぁ。」 「 ねぇねぇねぇ、静流さんの店は?あそこなら、さっき真理子ちゃんがあげた条件にあてはまるんじゃ?」    薫が名案を思いついた子どものような得意顔でそう言った。 「 静流さん?」 「 うん、よくね仕事前に食事に来てくれるんだけど、びっくりするくらい綺麗な人なの。   凛としてて、所作も美しくてね。   で、その人が超レアな会員制のカフェバーをやってるの。」 「 へぇ、会員制のカフェバー。   いいかもしれない。   なんて名前の店?」 「 確か、『静海』《しずかのうみ》』だったかな?」  なるほど、月の海のことね。いいセンスだ。  行ってみたくなる名前をしてる。  早速、スマホで検索してみるが… 「 だめだ、出てこないわ。   なるほど、徹底してるんだね。」 「 VIP専用の会員制の店って言ってたからね。      真理子ちゃんがもし興味あるなら、お繋ぎしてもいいよ。   受けてくれるかどうかはわからないけど。」  斗真がいうなら60%くらいは可能性ありそうだ。  これが薫だけなら20%くらいだけど…。 
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